(日本の育成ペットで今儲かってるっぽい2つ)
結論から
「ペットを長く利用させる/金を払わせる方法」が違う。どういうこと?
課金事業に必要な要素を以下の3つに分解する。「いかに大きい金額を払わせるか」(額)×「どれだけ長期間払わせるか」(期間)×「どれだけ多くの人に払わせるか」(人数)
この中でボテン君とクリノッペが決定的に違うのは、「どれだけ長期間払わせるか」(期間)に対する考え方、つまり「どのように長期間払わせるか」である。
ボテン君は前に引っ張ることによって、クリノッペは後ろに引っ張ることによって、長い期間使ってもらえる(払ってもらえる)ようにしている。
成長していくボテン君
ボテン君というゲームは以下の構造を持つ。
第1期(幼児期→幼少期→反抗期→開花期→晩年期)
↓
第2期(幼児期→・・・)
↓
第3期(幼児期→・・・)
↓
・・・
→→→?
ボテン君は状態が前向きに変化(成長)する。最初に与えられるのは未熟で小さなサボテンで、それをいかに育てるか(いかに小まめに世話をするか、いかにアイテムを買うか)によって、次の状態が決まる。
加えて、状態より細かい段階として仕草の変化がある。
幼児期(仕草1→仕草2→・・・→)
↓
幼少期(仕草→)
↓
・・・
↓
晩年期(仕草→)
仕草の変化をカメラに収めてかんさつ図鑑に保存することが出来る。
これが結構楽しいのだ。魚を図鑑に飾るのもいいですが、仕草を飾るというのはペット好きには面白い。
次の仕草を見たいがために毎日小まめに訪問する。そして早く成長させて次の状態(期)が見たいからアイテムを購入する。
つまり、状態を変化(成長)させることが、ボテン君というゲームを続ける基本的な動機となる。
これは、かつて大流行した「たまごっち」と全く同じ構造である。
ちなみに、たまごっちは以下の構造だった。
第1期「ベビーっち→こどもっち→アダルトっち→隠れたまごっち」
↓
第2期「幼児期→反抗期→思春期→産卵期→老後」
どんな状態に変化するかを見るのを楽しみにしていた人も居るのではないでしょうか。
あたしのやつ世話しないでおいたらおやじっちになったんだけどマジウケルwwwww
劣化していくクリノッペ
クリノッペというゲームは以下の構造を持つ。
ミイラ←虫沸き←腹減り←完成形
←←
クリノッペは最初に与えられた状態が完成形だ。それ以上、状態は前向きに変化しない。状態変化は後ろ向きにしかしない。
(ダンスを覚えれば動きは変化するが、状態は変化しない)
最初に無料で与えられた完成形を保つためには、サイトに毎日アクセスして、飴を与える、風呂に入れるという世話をしなければならない。
つまり、状態が変化(劣化)しないようにする、というのがクリノッペというゲームを続ける最も基本的な動機となる。
クリノッペ内では、「成長促進アイテム」が売られているが、これは名前の通り受け取るべきではない。繰り返すが、クリノッペの状態は前向きに変化しない(成長しない)のだ。
「成長促進アイテム」というのは、「出来るだけ長く劣化を食い止める」アイテムのことだ。だから、「成長促進」というよりは「アンチエイジング」の方が正しい。
この特徴によって違いが生じる金払いのタイミング
ボテン君は成長の節目節目で、クリノッペは週1のイベントで。状態の進行によって変わるボテン君のアイテム類
ボテン君のショップに行くと、鉢・帽子・アクセサリー・栄養剤が買える。この商品類は、成長フェーズによって異なる品が用意されている。例えば鉢の場合
幼児期にはヒヨコのおまる→反抗期には自転車→開花期には豪勢な鉢。
成長していくことによってサイト再訪頻度を上げているだけでなく、消費頻度も上げているということだ。
「一度アバターを着飾ったユーザーは、なかなか服を着替えさせない」という各社共通の悩みに対する一つの解でもある。
週に1度開かれるイベントでアイテム消費を促す
クリノッペでは、週に1度イベントが開かれる。エアロビ大会と大食い大会が隔週で。例えば大食い大会の場合
参加賞を餌に参加を募る→生まれた時期の近いクリノッペ8匹が同じチームに入れられる→8匹の間での競争(勝つとご褒美)、加えて8匹の間での協力(8匹の食べた量の合計が一定値を超えると全員にご褒美)の機会が与えられる。
クリノッペでは、この週1イベントによって定期的なアイテム消費を促している。
どっちがいいのか
これはどちらがいいとは言い切れない。成長・進化型のメリットデメリット、新規参入の場合
メリット
1、ペットそのものの容姿 と 2、その変化(物語)という2つで訴求できるのは良い。デメリット
「変化(物語)」は飽きられる。それほどパターンもないでしょう。参入について
こっちの型はまだプレイヤーが不足している。他にあったら教えてください。今参入するならこっちかと。
たまごっち並のブームを引き起こすような「変化の面白さ(物語の面白さ)」を備えたペットゲームでモバイルゲーム市場を盛り上げて頂きたいものです。
非成長・非進化型のメリットデメリット、新規参入の場合
クリノッペは、私個人の趣味としては、クリノッペ単体での(容姿の)完成度がとても高いと思う。メリット
クリノッペの容姿が好き、という人に対しては、定期的な幼稚園児コスプレ、動物被り物コスプレなどのアイテムの充実、毎週のイベントの更なる充実によって、長く利用・支払いをさせていくことが出来る。変化(物語)に興味を持たせるより、ペットそのものに愛着を持たせた方が長持ちするでしょうから、これはいいところだ。
デメリット
とはいえ、クリノッペキモい、生理的嫌悪オウェという人にクリノッペを勧めることが出来ない、というのはクリノッペというゲーム最大の欠点だ。他の訴求要素がない。また、クリノッペより圧倒的に容姿が受け入れられるペットが出てきた時が怖い。もっとも、私が調査した範囲ではクリノッペを脅かす完成度のモバイルペットは存在していない。
参入について
こっちの型に参入するには、強力なキャラクターが必要だ。クリノッペの他にコンチも居るし、ぬるいビジュアルでは太刀打ち出来ないぜ!!!