SNS3強の歴史
GREE誕生(2004年2月)
「忙しいからGREEを作った」という田中さんの言葉のとおり、なかなか会えない仲間と簡単に連絡を取る手段として作られた。
GREEを一人で作った田中さんはこのとき楽天の社員でした。
mixi誕生(2004年2月)
GREEに続いて、人材サービス「FindJob」を運営するイーマーキュリーがSNS、mixiを開始。
現在に至るまで日本SNSの王者である。
mixi、ケータイで日記と写真の更新ができる新機能追加(2004年3月)
mixiは当初からケータイでの利用を想定していたということが分かる。だが、ケータイから登録できるようになるのは、まだ先の話。
GREE会員7万人突破、mixi会員5万人突破(2004年7月)
この時期のGREEは比較的順調に会員を増やしていたようにみえる。→それでいい、楽しいから 7万人の町GREEを一人で作っている会社員(ITMediaNews)
mixiは、プレオープンから約20週間目となる7月26日に5万人を突破。
mixi会員10万人突破(2004年9月)
5万人突破から7週間と3日となる9月16日で10万人を突破。「GREE Night 2.0」を開催、GREE会員10万人突破(2004年9月)
9月12日に「GREE Night」は開催された。「9月中に10万人突破する予想」の前夜祭として。つまりこの時期にGREEとmixiの会員数が並んだ瞬間があった。
→10万人ユーザー突破を記念したイベント「GREE Night 2.0」
グリー株式会社設立(2004年12月)
DeNAが99年3月、イーマーキュリーが99年6月に設立されてから5年以上が経っている。一番初めに登場したGREEがこの後遅れをとったのは、グリーという会社が遅れて出来たことに拠る部分が大きい。
ちなみに12月2日には、ニンテンドーDSが発売された。
mixi、有料オプション「mixiプレミアム」開始(2005年1月)
早い時期から広告以外の収入を得始める。DeNAがマザーズ上場(2005年1月)
グリーという会社が出来てまもないこの時期に、後にライバルとなる企業はマザーズ上場を果たしている。→「ビッダーズ」のDeNAがマザーズ上場へ(ITMediaNews)
ちなみに「ビッダーズ」というオークションサービスは、Yahooと熾烈な争いを繰り広げた末に2番手に甘んじることになった。
mixi、会員数100万人突破(2005年8月)
グリーが会社の基盤を作っているのを尻目にmixiが独走態勢を固める。「mixiのサイトデザインがかわいいから女子がmixiに流れた」という俗説があるが、この時は単純にGREEは機能的に劣っていた。
GREE、α版からβ版に。「GREEモバイル」開始(2005年10月)
GREEもようやく戦う体制が整ってくる。この時、会員は23万人。mixi会員200万人突破、「Web of the Year 2005」を受賞(2005年12月)
2005年頃までのmixiは勢いがあった。1強1弱体制で、GREEを寄せ付けない。mixiにハマる人が続出し、「mixi中毒」「赤字中毒」「mixi疲れ」などの言葉が生まれました。
イーマーキュリー、ミクシィに社名変更(2006年1月)
mixiの勢いそのままに会社名もミクシィに。モバゲー誕生(2006年2月)
「モバオク」で成功を収めたDeNA社のモバゲータウンが、パケホ普及始めに狙いを定めて、ケータイに華々しく登場した。日本のSNSの1強1弱体制に風穴を空けることになる。
「携帯電話専用無料ゲームサイト」というのがこの時の枕詞。
mixiニュース開始(2006年2月)
mixiログインして日記は書かなくても取りあえず友達の日記とmixiニュース読む、という流れを作る。
モバゲー10万人突破(2006年3月)
開始後26日間で10万人突破。破竹のスピードで会員を集めていき、ケータイを知らないおじさんたちをふぁびょらせました。GREEとはてなが共同でSNSとブログを用いたクチコミプロモーション販売へ(2006年4月)
この時は、KDDIとの提携に向けて交渉が行われていた時期。GREEは様々な模索を行っていたことが分かる。mixiミュージック開始(2006年5月)
モバゲー100万人突破、mixi500万人突破(2006年7月)
モバゲーの枕詞が「ゲーム&コミュニティサイト」に変更された。SNSという言葉が嫌いだったためにコミュニティにしたが、「SNSといわないとメディアが取り上げない」との理由でその後「ゲーム&SNS」に変更される。GREE、KDDIとの提携発表(2006年7月)
8月時のGREE会員は38万人
mixiが提携を蹴ったからGREEに回ってきたとの噂。ミクシィマザーズ上場(2006年9月)
ミクシィは高値をつけ、mixiもミクシィも表向き順調そのものに見える。だが、mixiを使わない(使えない)中学生・高校生たちの間では前略プロフやケータイ小説が流行りだして、独特のモバイル文化が生まれていった「EZGREE」開始、合わせて「グリゲー」開始(2006年11月)
グリゲー、グリデコなど運営が用意するコンテンツが増える。
グリキューというwikipediaとQ&Aのようなものが出てきて上にも進む。
ちなみにこの時KDDIの人は「目標は100万人、1000万人も夢ではない」と言っていた。
mixi携帯電話からの登録が可能に(2006年12月)
EZGREEから2ヶ月のこと。この後、3日間で10万人がケータイから登録した。mixi名前欄、性別欄の公開レベル設定が可能に(2006年12月)
言わずと知れたあの事件の影響で。当初のmixiの理念すら変えざるを得なかった大きな出来事。
順調に来ていたmixiだが、この変更は今に至るまで影響を与えているようにみえる。
mixi会員800万人突破、GREE会員70万人突破(2007年1月)
まだこの時は10倍以上違う。モバゲー会員300万人突破(2007年2月)
GREE会員100万人突破(2007年3月)
目標の100万人を突破モバゲー、テレビCMを含む大規模キャンペーン実施(2007年5月)
ニュースと天気の配信、動画の配信、ケータイ小説大賞実施などによりモバゲー内のコンテンツでROMるものが増えていく。
ゲームだけでは登録者数が増えていかないという判断か。
GREE、釣り★スタ開始(2007年5月)
ゲーム内アイテム課金という道を切り開いたエポックメーキング的な出来事。「無料ゲームで集客して、アバターで金を取る」というモバゲーのビジネスモデルとは全く異なるということを理解出来ている人が少なすぎる。
GREE、アバターと部屋導入。「踊り子クリノッペ」も登場(2007年7月)
クリノッペもゲーム内アイテム課金で成功した。飽きられやすい育成ゲームで現在に至るまで人気があるのはすごい。
この時はGREEがモバゲーみたいになったなどとも言われていた。
旧来のGREEユーザーからはアバター反対運動も起こった。
この1ヶ月後には200万人突破
mixi、サイトデザインリニューアル(2007年10月)
同時期のGREEの大幅な変化と相まって、SNSに愛着のある旧来のファンの一部には嘆かわしい出来事が続いた。これら一連の出来事が起きている中でTwitter、リアルタイム日記、プロフが台頭。→Twitter、リアルタイム日記、プロフ 爆発的に広がる"無意味メディア"(nikkeiBPnet)
GREE会員300万人突破、「ニュース」と「天気」の情報を配信開始(2007年12月)
これで3つともニュースを配信することに。モバゲー、「総合ポータルサイト」に(2008年1月)
「携帯電話専用無料ゲームサイト」→「ゲーム&コミュニティ」→「ゲーム&SNS」から3回目の変更。モバイルではYahooに勝つという意志の現われか。モバゲー、ゲーム内アイテム課金の新しいビジネスモデルを開始(2008年4月)
GREEのアイテム課金ゲームが自社コンテンツであるのに対して、モバゲーはプラットフォームとなりゲーム会社がゲームを開発している。ORSO(オルソ)、スクウェア・エニックス、タイトー、ハドソン、ハムスター、ワークジャムが参加。これ以降、「ゲーム無料で集客」というビジネスモデルに加えて、RPGなどの本格ゲームを投入して課金していく方向に。
GREE、テレビCM放送開始(2008年5月)
岸部四郎を起用したテレビCMが、「金はない。時間はある。」のキャッチコピーと共に話題に。この時期になっても成長が鈍化しなかったのはこのCMの効果か。忙しいから作ったGREEが暇つぶしの手段になったのは面白い。
モバゲー会員1000万人突破、GREE会員500万人突破(2008年5月)
モバゲーは新潟県にカスタマーサポートセンターを設立。新潟県は南場社長の出身地。未成年が利用するに当たってよろしくないケータイサイトの代名詞としてモバゲーは使われていた。
mixi会員1500万人突破(2008年7月)
人数は増えていたが非アクティブユーザーも増えているモバゲータウン、一部機能をPCに開放(2008年7月)
今のところPCは一応開放してあるといった形で、特に新たな展開は行われていない。7月31日から広末涼子出演のテレビCMが大々的に流れ出す。
「総合ポータル」を謳ったテレビCMの効果が薄かったため、最初からのテーマである「ゲーム無料はモバゲー」で訴求した。
GREE、クリノッペ「モバイルプロジェクト・アワード2008」で優秀賞を受賞(2008年7月)
クリノッペは本も出版された。GREEの財務担当者はクリノッペがかわいくてしょうがないんじゃないか。→「モバイルプロジェクト・アワード2008」受賞 ケータイ対応で急成長するGREE、ヒット支えるクリノッペ(ケータイWatch)
mixi、エコー、OPEN ID、あなたの友人かも?機能の提供を開始(2008年8月)
mixiのFacebook化が進む。モバゲーに、人気のお笑い芸人が生出演、ユーザと一緒に「大喜利」に挑戦する生番組を配信(2008年9月)
これはユーザー作成と運営作成の中間に位置する、今までモバゲー内で行われていた動画配信とは一線を画す面白い企画。
おそらく、ケータイ小説・大喜利・2009年に登場するテレビの実況板など、左側(ユーザー作成コンテンツ)を強力に推す有能な人材がモバゲーの中にいる。
mixiプラットフォーム開放、年齢制限緩和、招待制撤廃を発表(2008年11月)
mixiが動こうとしている。ミクシィ年賀状開始、モバイルではデコメサービス開始(2008年12月)
ミクシィ年賀状はいいサービス。今後は課金していこうという意欲が伺える。GREE会員800万人を突破、東証マザーズ上場(2008年12月)
mixiを上回る高値をつける。マザーズ上場は旧来のGREEファンも喜ばせた。mixi、足跡機能の変更(2009年1月)
mixi中毒を引き起こす要因でもある足跡を消すことができるようになった。変化を予感させる。DeNAの川崎さんが「ソフトウェアジャパンアワード2009」を受賞(2009年2月)
はてなの近藤さん、伊藤さんと一緒に。→はてな近藤、伊藤、DeNA川崎の3氏が「ソフトウェアジャパンアワード2009」を受賞(CodeZine)
川崎さんに関しては、1年前の下の記事が面白い。
→「モバゲー」を1人で開発した男--川崎修平氏の素顔(前編)(ASCll.jp)
→「モバゲー」を1人で開発した男--川崎修平氏の素顔(後編)(ASCll.jp)
ちなみに、日本3大SNSを作った3人、ついでに上のはてなの2人は、76世代と称されている。
DeNAの川崎さん、mixiの笠原さん、はてなの近藤さんは75年生まれ。
GREEの田中さん、はてなの伊藤さんは77年生まれ。
現在
mixi会員1600万人超、モバゲー1200万人超、GREE800万人超mixiやモバゲーがそれぞれトップのSNSとして世間の厳しい目に晒されている中でGREEが伸び伸びしている。
成長が鈍化しているmixiとモバゲーに、猛追しているGREEがいずれ追いつくだろうことは予想できるが、そこから更に会員を増やして例えば3000万人にするのが、3つのうちどこであるかを予想するのは難しい。
次に勝手にそれぞれの未来を予想してみました。
未来予想
mixi
mixiは電話や手紙の延長線上にありたい、と以前ミクシィの人が言っていたが、それは至極まっとうな意見である。そのためには、現在の「友達の日記とニュースだけ読む。自分は書かない」という人たちにもう一度アクティブに書き込ませる必要がある。日記以外のキラーコンテンツを出す予定らしいので、それに期待がかかる。ROM率を下げるのは困難な作業だと思うけれども頑張ってほしいです。
モバゲー
モバゲー内には、情報をたくさん提供してyahooみたいにしたい右上担当の人、ユーザーが作るサービスをやりたい左上担当の人、ゲームを頑張っている右下担当の人、コミュニティを頑張っている左下担当の人が共存しているように見える。だから、モバゲーは恐らく真ん中にいく。
個人的には、左上担当の人がんばれ、せっかくユーザーがたくさん居るんだから面白いサービス作れ、お前だよお前、という気持ちである。左上が一番儲からないという話にもなるのだが。
GREE
GREEは現状のゲームとコミュニティに自信を持っているようなので、このままの位置でしばらくは突き進むでしょう。任天堂になりたい(抜きたい)んじゃないですか。
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以上です。多くの項目は、ミクシィ、DeNA、グリー各社のプレスリリースを元に、ITMediaNews、CNetJapanの記事目次を参考にしました。その他分からないところは色々探しました。いちいちソースを載せませんでしたが、ご容赦ください。
間違いがあればご指摘よろしくお願いします。
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最後まで読んでくれた方のために、どうでもいい情報を。
ミクシィは本社受付にオレンジ色のかわいい自転車が飾ってあった。
DeNAは本社受付に広末涼子サイン入り(着用済み?)の「I love Free」Tシャツが飾ってあった。
グリーは本社受付に「GREEはこのサーバーから始まりました」という言葉と、1台の小さなサーバーが飾ってあった。
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